お米生活

「お米生活」を管理栄養士が徹底解説! ごはん中心の食事のやり方と注意点

管理栄養士の小原水月です。

「お米生活って何がいいの? 」

「お米生活はパンを食べちゃダメなの? 」

そんな疑問はありませんか。

SNSなどでも話題のお米生活とは(一社)日本健康食育協会の柏原ゆきよ先生が提唱された食事法が広まるにつれて生まれた愛称のようです。

そこでこの記事では私が実践するお米生活についてお伝えします。

もちろんこのやり方が絶対ということはありませんが、参考になれば幸いです。

お米生活とはごはんをしっかり食べること

お米生活とはその名と通りお米=ごはんを中心に食事を組み立てることです。

献立で考えると、

ごはん:おかず=6:4

のバランスになるイメージ。

この6:4は栄養面でも体の機能面でも優れたバランスになります。

ただ、この比率はあくまでもイメージで流動的なもの。

私が実践している例を中心に具体的なお米生活についてご紹介します。

お米の目安は1日2合

私はお米生活を始めてから1日およそ2合のお米を食べています。

お米の種類や状態、水加減によっても変わりますが、2合のお米を炊くと重さは660gくらい。

これはお茶碗4~5杯分になります。

厚生労働省の食事摂取基準2020年版では疾病予防、健康増進の観点からエネルギーの内訳を

炭水化物60% 脂質25% 

タンパク質15%

にすることを勧めています。

成人女性が1日に摂るよう示されているエネルギー量がおよそ2000kcalで、その60%をお米から摂るとすると2合になります。

男性や生活活動量が多い方、スポーツをしている人はもっと多くなりますし、胃腸の元気がないなどの方はもっと少なくなります。

また必要な量というのは日によって変わることも。

あくまでも1日2合は目安で、毎日の自分の体と相談しながら食べています。

一汁一菜の献立

お米生活の基本はごはん・みそ汁・おかずの一汁一菜です。

ごはんには雑穀を混ぜ、みそ汁を具たくさんにし、おかずは片手のひらにのるくらいの肉や魚。

これがシンプルですが栄養バランスのいい組み合わせです。

たんぱく質が少ないのではと心配する方もいるかもしれませんが、ごはんやみそからもたんぱく質が摂れますし、ごはん+みそはタンパク質のレベルを上げる最高の組合せ。

さらにごはんに雑穀を混ぜ、みそ汁に野菜をたっぷり入れることでビタミン・ミネラル・食物繊維を確保できます。

ごはんをしっかり食べて、みそ汁やおかずで季節の変化をつけたり、楽しみをくわえたりするイメージです。

私はおかずひと口にごはん2~3口で、だいたい同時に食べ終わるようにしています。

ハレとケを分けて考える

ハレとはお祝いやお祭り、非日常のことで、ケとは普段の日常のことを指します。

ごはん中心、一汁一菜の食事は体を整えるケの食事。

パンやパスタ、スイーツやお酒は心の栄養、お楽しむためのハレの食事。

このように食事を場面ごとに意味づけして考えると何を食べたらいいか迷うことがありません。

私の場合、ハレを心底楽しむためにケを過ごしているようなところもあります。

噛むこと、楽しむことを大切に

お米生活はお米をしっかり食べることがメインですが、同じくらい噛むことと楽しむことが大切です。

よく噛まなければせっかくの食材も栄養になりづらくなり、楽しい気持ちが体の機能を高め効率的な栄養の吸収につながります。

「何を」食べるかだけではなく、「どのように」「どのような状態で」ということも重要です。

お米生活のおかずは禁止・制限・我慢なし

お米生活では食を楽しむことがとても重要。ですから基本的には何を食べてもOKです。具体的な献立をご紹介します。

肉・魚・揚げ物なんでもOK


おかずは栄養+楽しみです。

基本は肉や魚、卵、大豆製品などを片手のひらに乗る程度の量ですが厳密である必要はありません。

ごはんをしっかり・おかずはほどほどのイメージです。

調理法や調味料にも決まりはありません。

和・洋・中・エスニックたいがいの料理はごはんと合いますし、生・焼く・ゆでる・煮る・炒める・揚げる・蒸すなど同じ食材でも調理法を変えると楽しみが広がります。

みそ汁は具だくさんに

みそ汁には旬の野菜をたっぷり入れます。

これがおかずに野菜がなくても十分に栄養が確保する秘訣です。

みそ汁はふところの広い料理でたいがいの食材を受け入れてくれます。

トマトやピーマンのような洋野菜も試してみて。

また、肉や魚、卵を入れてボリュームを出すと、ごはんとみそ汁と漬物だけで簡単にバランスのよい食事になります。

お米生活は太る? 痩せる? からだの変化

お米生活を続けているとさまざまな体の変化に気づきます。

短期間で劇的に変化することもありましたし、時間をかけてゆっくりと変わってきたこともあります。

私の中で特に大きいと感じた変化をお伝えしますね。

変化①:おなかの底から元氣になる

食事の量や回数が少なかったり、特定の食材を極端に制限したりする食事を続けていると活動に制限が出てくるように感じていました。

例えば体がだるく動けない、いろいろなことが面倒くさくて動きたくない、頭がもやもやして考えたり決めたりできない。

しかし、ごはんをもりもり食べて体に十分なエネルギーがあると体がスッキリと軽く、面倒くさいという思考になることが少なくなりました。

頭もクリアで要不要の判断が早くなり、先延ばしすることもほとんどありません。

体の機能を余さず活用できる、まさに「元氣」な状態です。

変化②:お通じの状態が改善

ゆるくなりがちだったお通じがしっかりとした形を保って出てくるようになりました。

調子がいいと黄~黄土色。

においも和らいだように感じています。

お米には腸内の善玉菌が喜ぶ食物繊維が含まれているのにくわえ、悪玉菌が喜ぶ脂質はほとんど含まれていません。

また咀嚼(そしゃく)することで腸のぜん動運動が促され活発に動いているようです。

さらに老廃物をしっかり出すことによって、また新しい栄養を取り込むことができます。

変化③:肌質の改善

口の周りに吹き出物が絶えずできていて、目元は乾燥するのに鼻の周りは皮脂でドロドロ。

肌全体もくすんでいて、以前の私は全体的に暗い印象でした。

肌は体の一番外側にある器官で、体に十分量がないときはエネルギーが届きづらくなります。

ごはんをしっかり食べることで肌までエネルギーが届き、肌の機能が活性化。

吹き出物はできづらくなり乾燥やベタつきが軽減。肌に透明感とハリが出てきたように感じています。

ちなみにスキンケアは洗顔+化粧水(ときどき+クリーム)というずぼらスタイルです。

変化④:メンタルの安定

お米生活を続けていて心が穏やかになったと感じています。

もたつく子どもを黙って見守り、残業続きの夫をねぎらい、義母のとりとめのない話に相づちを打てるようになりました。

(以前はすべてイラだってしまい攻撃的になるか無言になるかでした)

感情や気分は脳内物質やホルモンによって作られますが、どちらも食べ物を原料に作られます。

お米生活で十分に栄養が摂れている状態だと感情や気分も安定するようです。

お米生活の注意点

いいことづくしのお米生活ですが、少し気を付けたほうがいいかなという点があります。

お米生活が絶対ではありません。

ご自身の状況や優先順位の高い項目は何か、ということを考えながらチェックしてみてください。

即効性は期待しづらい

お米はすばらしい食材ですが薬ではないので食べてすぐに体の変化を感じるというものではありません。

細胞は毎日新陳代謝が行われていますが器官によってその周期は違いがあります。

以下に主な器官の新陳代謝の周期をまとめました。

肌:約28日

心臓:約22日

胃腸:約5日

肝臓:約60日

筋肉:約60日

骨:約90日

(参考:「健康食育ジュニアマスター 健康理論」一般社団法人日本健康食育協会)

体に負担をかけないお米生活は変化もゆるやか。

すこしゆったりとした気分で取り入れられるといいとかもしれません。

もし短期間で変化がほしいという場合は10日間集中の若玄米リセットプログラム®(食べる断食®)をおすすめします。

ボディラインは整うが体重が増えることも

お米生活をしていて2~3㎏の体重が増えました。

しかし全身のむくみが改善し、バストトップが上がり、下腹のぽっこりがよくなってきています。

見た目よりも体重を重視する場合は、お米生活が合わないということがあります。

一時的に便秘や下痢、倦怠感などの不調を感じることも

お米生活が今までの食生活と大きく違ったり、ご自身に合ったごはんとおかずの量がみつからなかったりすると、一時的に便秘や下痢、倦怠感などの不調を感じることもあるようです。

私はおかずを減らさずごはんを増やしてしまい、一時的に便秘と体重増加を経験しました。

体の変化を観察したり、お米仲間の経験談を参考にしたりしながら調整を繰り返すと不調は改善。

不調は体からのサインであることがほとんどなので見逃さず、自ら原因を考えるということが必要です。

お米生活で、元氣でご機嫌に過ごしています

お米生活はごはんを中心としたシンプルで、ストレスなく取り入れられる食事法だと考えています。

しかし万人に対して「コレで大丈夫! 」という理論がないように、お米生活もご自身に合わせたカスタマイズは必須です。

よくご自身の体の変化を観察して、あなただけのスタイルを確立してくださいね。

また、完全プライベートでの食事相談も行っていますので気になること、不安なことがありましたお気軽にご相談ください。