「毎日、お通じがなくて不安……」
「ずっと便秘だから体質だとあきらめている」
こんなお悩みはありませんか。
お通じのことは家族や友だちとは話題にしづらいですし、何が正解かわからなくて不安になることもありますよね。
しかし便秘はほうっておくと深刻な症状が出ることも。
そこでこの記事では便秘の原因やメカニズム、毎日の暮らしの中でできる予防法と手当の仕方をご紹介します。
ご自身の暮らしを振り返って、ご機嫌な毎日を過ごしましょう!
こんなときは専門家に相談を
ひとことに便秘といってもいろいろな種類があり、中には「危ない便秘」というものもあります。
心配な場合は自己判断せずに専門家に相談しましょう。
かかりつけ医を受診
強い痛み、吐き気、発熱、おなかにシコリがある、便に血が混ざる、セルフケアをしても1カ月以上改善が見られないような場合は腸閉塞や、大腸の潰瘍(かいよう)などの病気が発症している心配があります。
一度、かかりつけ医を受診してみてください。
市販薬は薬剤師に相談して
便秘解消を目的とした市販薬が数多くありますが、作用のメカニズムによっていくつかの種類に分けられます。
また、漢方薬も体質や便秘以外の症状を考えて選ぶ必要があり、ご自身で何が必要なのか、何が合っているのかを判断するのは難しいでしょう。
市販薬を使用する際はご自身の状況を把握したうえで薬剤師などの専門家に相談してください。
そもそも便秘とは
慢性便秘症診療ガイドライン2017では「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」を便秘と定義しています。
つまり3日1回であってもスムーズに排便できていれば便秘ではないし、毎日お通じがあってもスッキリしないようであれば便秘といえるのです。
便秘かどうかはご自身のスッキリ感が基準ともいえます。
便秘とはどんな状態?
食べたものが消化管を通過して便になります。便が作られる過程は以下のとおりです。
食べ物
↓
口:そしゃく
↓
胃:胃液でドロドロに
↓
小腸:栄養素を吸収
↓
大腸:水分を吸収し固形の便に
↓
直腸:便意を感じる
↓
肛門:排泄
口から肛門までの消化管がフル稼働して便は作られ、その働きは自律神経の支配されています。
消化管のどこかに不具合が起きている、自律神経がうまく働かないという状態が便をとどこおらせ、便秘を起こす原因になります。
便秘はほうっておいてはダメ!
便秘をほうっておくと以下のような不快な症状があらわれることがあります。
悪心
肌荒れ
肩こり
めまい
イライラ
食欲低下
おなかが張る
おなかぽっこり
おならが増える
おならが臭くなる
また、便秘が痔や脱肛、糞便閉塞症、大腸の潰瘍、腹膜炎などの病気につながることも。
便秘かな、と思ったら早めに対処したいですね。
便秘の原因は6種類
便秘は原因によって6種類に分けることができます。
種類によって対応の仕方が変わるので、ご自身がどの便秘に当てはまるかチェックしてみてください。
機能性便秘
大腸や直腸、肛門の働きがうまくいかなくなって起こる便秘。
さらに3つに分かれます。
弛緩(しかん)性便秘
大腸を動かす筋肉がゆるみ、便がスムーズに運ばれず、水分が必要以上に吸収され硬くなってしまうタイプ。
食事量が少ない、活動量が低い、筋力の低下などがきっかけで起こります。
けいれん性便秘
大腸を動かす筋肉が緊張しすぎてしまい、便がうまく運ばれず、うさぎのフンのようなコロコロとした便になるタイプ。
便秘と下痢を繰り返すこともあります。
大きすぎるストレスや環境の変化が原因になることが多いようです。
直腸性便秘
直腸のセンサーがにぶくなり、便意を感じづらくなっているタイプ。
便意を我慢し続けることや、温水洗浄便座の過剰な使用が便秘につながることがあります。
器質性便秘
大腸がんなどの病気が原因で大腸が狭まる、ふさがるなどして便が物理的にスムーズに通過できずに起きる便秘。
症候性便秘
甲状腺の病気や糖尿など全身の病気の症状として便秘が起こることがあります。
薬剤性便秘
薬の副作用で起きる便秘です。咳止めや抗うつ剤にもそういった副作用を起こす薬があります。
女性は便秘になりやすい?
女性は便秘になりやすいといわれるのにはホルモンが関係しています。
女性ホルモンのひとつ、黄体ホルモンの働きは大腸の動きを抑え、便の水分の吸収を促すこと。
生理の前や妊娠中に黄体ホルモンが多く分泌されるので、便秘になりやすいと感じる人もいるようです。
暮らしでできる便秘の予防と手当5つ
便秘の予防や解消のために意識したいのが自律神経と消化器官、そして便秘以外の体の状況です。
便秘は細かく見ていくといくつかの原因が重なって起きていることがほとんどで、何かひとつのことをやって解決を目指すのは難しいかもしれません。
体と心の全体のバランスを整える、元氣を底上げするようなイメージで取り組んでみてください。
生活にリズムをつける
自律神経は生活にリズムをつけることでバランスをとることができます。
十分な睡眠時間を確保する
起床の時間を一定にする
食事は1日3回、同じような時間に摂る
余裕をもってトイレに行く時間を確保する
仕事や家事、育児とやることは際限なくあるかもしれませんが、ご自身が絶好調でいることが一番効率的で時短にもつながります。
生活にリズムをつけることの優先順をあげてみてください。
ストレスをため込まない
大きすぎるストレスは自律神経のバランスを乱します。
ストレスの原因を取り除いたり、避けたりするのがベストです。
ただできない場合はため込まず、なるべく早く手放す方法をいくつか用意できるといいですね。
スキンシップをとる、会話を楽しむ、笑ったり泣いたり感情を解放する、趣味に没頭する、自分を労わる時間や空間を作る……
こうすると元氣になる、氣持ちが切り替えられるという自分流のストレス解消法を作れるといいですね。
食べるものに意識を向ける
便は食べたものが材料になるので、いい便になるような食べ物を選ぶことも有効です。
食物繊維+発酵食品+水分
食物繊維と発酵食品、水分は同時に摂ることで便秘解消の相乗効果を狙うことができます。
そこで、ぜひとも食べてもらいたいのが、野菜たっぷり具だくさんおみそ汁。
野菜の食物繊維、発酵食品であるみそ、たっぷりの水分が一度に摂れます。
納豆ごはんもおすすめです。
ごはんは重量のおよそ半分が水ですし、難消化性でんぷんといってでんぷんなのに食物繊維と同じような働きをする成分が含まれています。
そして発酵食品である納豆を添えれば完璧な組み合わせができ上りです。
適切な脂質
冗談のようですが適度な脂質はツルンと便の滑りをよくしてくれて便秘の予防や解消に効果的です。
ただし、酸化している油や、多すぎる動物性の脂質は便の状態を悪化させることがあります。
高価である必要はありませんが、質の悪い油は避けるのが無難です。
食事量を確保する
いい便を作るためにはある程度のカサも必要です。
食事をしない、または減らしすぎてしまうと材料がたりずうまく便が作れないことも。
食べる量を減らしても便を出せなければ体に老廃物が溜まり続けることになります。
しっかり食べてスッキリ出す、のいいサイクルを目指しましょう。
飲み物をわけて考える
便の重量の70~80%は水分なので水分を十分に摂ることは便秘予防にも大切です。
そして何を飲むかということを一緒に考えられるとさらにいい結果を得やすくなります。
例えばカフェインは利尿効果があり、牛乳には乳脂肪が含まれているので水分補給には向きません。
カフェラテのようなものはおやつやお茶の時間に楽しむものとして、水分をとるためには水やノンカフェインのお茶などをおすすめします。
丁寧に食べる
消化器は一本の管でつながっていて互いに影響しあいます。
腸の状態がよくないときは胃の状態がよくない、胃の状態がよくないときは口の状態が悪い、つまり咀嚼が十分にできていないということがあります。
いい腸を整えるためにまずはゆっくりよく噛んで食事をすることが重要です。
体の巡りをよくする
自律神経から出される神経伝達物質も、消化器が効率的に働くためのエネルギー源もすべて体の中を循環しています。
この循環をよくすることは便秘だけではなく、さまざまな不快症状や病気から遠ざかるためにとても大切です。
具体的には以下の方法があげられます。
入浴
姿勢を整える
ストレッチ
マッサージ
ツボを刺激する
ずっと同じ姿勢でいないでちょこちょこ動く
できそうなこと、続けられそうなことから暮らしに取り入れてみてくださいね。
暮らしを整えて便秘知らずの体を作る
人にはもともといらないものを排泄する力が備わっています。
つまり便秘とは生きる力が少し弱くなっている状態ともいえるのです。
ほうっておくとどんどん力が弱まってしまいますが、暮らしの中で少し気を付けるだけで十分に回復することもできます。
何かに頼るのではなく自力で排便をする力を取り戻しましょう!